RAIDの再構築(リビルド)の失敗や復旧方法

RAIDの再構築(リビルド)の失敗や復旧方法

RAIDを構成しているHDDが壊れた際、HDDを交換して再構成(リビルド)を行えばデータの復旧ができるもの・システムも元の状態に戻って動作が可能になると認識されている方も多いかと思います。しかし、再構成(リビルド)を行うこと自体がリスクの高い作業でもあることはご存知でしょうか。RAIDの再構成(リビルド)は、マニュアルや説明書を読みながら行っても状態が悪化してしまう事やデータが消えてしまうリスクがあり、慎重に進める必要があるものです。ここでは、RAIDのトラブルが生じた際に再構成(リビルド)によって生じる症状や失敗例、作業を行う上での注意点や復旧方法について紹介していきます。

RAIDとは

RAIDとは複数のディスク(HDD/SSD)を使い、組み合わせによって複数のドライブを1つのドライブのように認識/表示が可能となる技術の事を指します。RAIDの正式名称はRedundant Array of Inexpensive Disks(リダンダント・アレイ・オブ・インエクスペンシブ・ディスクズ)を略し、レイドと呼ばれています。サーバーやNAS(ネットワークHDD)に管理者がRAIDの構成設定を行うことで機器がパリティを生成し、RAIDを構築します。パリティとは、データを記録する際/受取・受け渡しを行う際に誤りが出ると感知や訂正ができるように自動的に生成される符号のことを指します。NASやサーバーなどでRAIDを使うメリットは大きく分けて①RAIDのモード/種類によってHDDの故障が生じてもデータへのアクセスや復旧が可能になる点②データへのアクセス/処理/書き込みの高速化が可能となる点③データを記録する量の増加が見込める点にあります。

RAIDの再構築(リビルド)とは

RAIDのリビルドとは複数のHDDを使ってRAID5やRAID6、RAID1などを運用中、1台のディスクが故障してしまった場合に故障していない他のHDDから故障したディスク内のデータを復元・再構築し直す作業のことです。一般的にHDDが故障してしまったNASやサーバー内のデータにアクセスができない状態になってしまった時には、再構築(リビルド)作業を行うとデータが復旧されると言われています。しかしながら、再構築(リビルド)を行うことは症状を悪化させてしまう・失敗するとデータの復旧ができなくなるといったリスクの高い作業・リビルド自体も簡単ではない作業のため注意が必要です。

↓RAID5のデータ復旧を行いたいと思った時はこちらも参照ください。

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RAIDの再構築(リビルド)によって生じる症状や失敗例

  1. ディスクの故障が1台から複数台に増えてしまう
  2. リビルド途中に故障が起きるとリビルドは失敗してしまう
  3. リビルドが終わらない状況が続く
  4. データが消える・無くなる

1.ディスクの故障が1台から複数台に増えてしまう

NASやサーバーなどに入っている複数のディスクはほぼ同時期に作られた部品であることが多いため、1台壊れると同じタイミングで他のディスクも壊れてしまうことが多いものです。使用時間や寿命によって壊れるタイミングが同じであることが多く、1台壊れた際には他のディスクも壊れてしまうことも想定してデータのバックアップを取っておくと良いでしょう。

2.リビルド途中に故障が起きるとリビルドは失敗する

1.で記載したように複数のディスクが同時期に壊れることが多いため、リビルドの途中に他のHDDが壊れてしまい、リビルド自体が失敗してしまうことも多いものです。リビルド作業が途中で止まってしまうケースもありえます。途中で止まった時にもリビルドは失敗してしまいます。リビルドの失敗は頻繁に起きるため、データが大切な方は行わないようにした方が良い作業でもあります。

3.リビルドが終わらない状況が続く

2.と同様に故障したディスクと同じように破損しかかっているディスクに負荷をかけてしまうことでリビルドが終わらない現象も生じることがあります。リビルドが終わらない間はずっと負荷がかかるため、HDDが壊れてしまう原因にも繋がります。リビルドが終わらない状況が続くとHDDが認識しなくなった・反応が無くなった・RAIDの構成から外される・NASやサーバーが起動できなくなった等の新たな症状が増えることもある為、注意しましょう。

4.データが消える・無くなる

リビルドが失敗してしまったり、途中で止まったりすると①ディスクの構成が崩れる②データがバラバラになる③書き込む予定とは違うデータが書き込まれる④違うデータが上書きされる⑤元々設定していたRAIDのモード/種類と違うものに設定が変わってしまう⑥モード/種類を誤って認識したままリビルドが進む等が起きてしまい、リビルド作業前より状態が悪化するといったケースに繋がります。結果、保存されているデータが消えてしまう・無くなってしまうこと・データの復旧が難しくなることもありえます。

↓RAIDの種類や復旧方法はこちら

再構成(リビルド)を行う前に

RAID構成情報の再設定や削除をおこなうとデータが消える・初期化されてしまうことがある為、トラブルが生じた時にはそれ以上、動かさないことが一番大事です。構成情報の再設定時にディスク内のデータが上書きされると元には戻せません。リビルドはリスクが高い作業です。ご自身で対応を行う際には下記に気を付けて進めましょう。

  1. バックアップを取る
  2. データが入っていない・正常に動作が可能なディスクの用意
  3. HDDのシリアル番号をメモする・写真に撮る
  4. システムの稼働を止めてから
  5. ディスクの順番をチェック
  6. HDDを単体で認識させることはNG

1.バックアップを取る

初めてHDDの障害が生じた・RAIDを導入した機器を数年使っている時にはバックアップを取っておくと良いタイミングです。リビルドの途中にディスクの故障台数が増えてしまった際には、NASやサーバーが起動できなくなってしまう状況になることもありえます。バックアップを取ろうとして操作を誤ってデータを消してしまうこともある為、HDDに障害が発生した際には先にプロの復旧業者に相談しておいた方が後々、困る状況にならずに済みます。

2.データが入っていない・正常に動作が可能なディスクの用意

RAIDを構成している複数のディスクのうち1台が壊れた際、この壊れたディスクと交換する新しいディスクの用意が必要となります。データが入っていない/正常に動作ができるものを用意しましょう。

3.HDDのシリアル番号をメモする・写真に撮る

シリアル番号を控えておくことで壊れたHDDと交換予定の正常に動作するHDDを誤って機器に入れてしまうミスを防げます。シリアル番号はあらかじめメモを残しておくか写真に撮っておきましょう。

4.システムの稼働を止めてから

RAID機能を稼働したままでディスクの交換(ホットスペア)をおこなう時には、誤って正常に動作しているディスクを取り外すことの無いように注意が必要です。システムが停止した状態であれば間違って取り外しをしても問題はありませんが、万が一、システムの稼働中に正常に動作しているディスクを外してしまうとデータが無くなってしまう・データが消える・HDDが故障してしまう事態を引き起こしてしまうこともありえます。交換作業はシステムを停止してから行った方が良いものです。

5.ディスクの順番をチェック

故障してしまったHDDと正常に動作する新しいHDDの交換をおこなう時に順番を間違えないように注意が必要です。順番を間違えて再構築(リビルド)を行ってしまうと保存されていたデータの上に誤った情報が上書きされてしまいます。その結果、データの復旧も難しくなってしまうため、順番のチェックは念入りに行っておいた方が良いものです。

6.HDDを単体で認識させることはNG

NASやサーバーの中から不具合の出たHDDを取り出して直接、パソコンに繋いでも保存しているデータへのアクセスはできない・中身は見られないものです。また、直接パソコンに繋いだ時には「フォーマットしますか?」とメッセージが出ることもあり、「はい」を押さないように気を付けましょう。フォーマットをしてしまうと保存されているデータは消去されてしまい、RAIDの構築を行おうとしてもデータの読み取りができなくなってしまいます。データの復旧も難しくなってしまう行為のため、単体で認識されることは避けましょう。

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再構成(リビルド)を行う上での注意点

作業を誤ってしまうとデータは無くなってしまいます。作業に自信が無い方や長い期間、使っているNASやサーバーの場合はデータの復旧業者に任せることを検討しましょう。

  1. RAID5やRAID6で構成している場合、ディスクが2台以上壊れると元に戻せなくなる
  2. 再構成(リビルド)中に機器の電源の入り切りをおこなうとRAIDの構成情報が破損してしまう
  3. リビルド中に2台以上のディスクを抜き差しした場合、構成情報が破損してしまう
  4. リビルド中はデータへのアクセス/バックアップ/設定画面の表示など操作性や動作にかかる時間は長くなる
  5. リビルド中にデータにアクセスをした時にはリビルドの失敗に繋がることも多い
  6. リビルド中はRAIDの冗長性が無い状態
  7. RAIDアレイチェックは中断ができない

ディスクの交換をしても復旧できない場合には

ディスクの交換を行っても復旧ができない状況は下記のような原因が考えられます。

  1. 交換前にすでにRAIDが損傷してしまっている
  2. 交換後に初期化・修復を実施

1.交換前にすでにRAIDが損傷してしまっている

ディスクの故障が発生してからリビルド等の対応をおこなう前にRAIDが損傷してしまっている際にはディスクを交換してもデータの復旧はできない為、注意しましょう。NASやサーバーは電源を入れた状態のままでもディスクの交換・抜き差しが可能であるシステム(ホットスワップ)を導入していることが多いものです。そのため、使用者がシャットダウンをおこなうまでは機器は稼働し続けるはずであるものの、電源が切れている・サーバーダウンしている状態の時にはすでにRAID自体が損傷してしまっていることが推測されます。この状況が生じている際にはディスク交換だけでは問題が改善されません。

↓RAID崩壊が生じている際の解決方法はこちら

2.交換後に初期化・修復を実施

ディスクを交換後に初期化・修復を実施した際には、データ領域全体が初期化され、全データが消えてしまいます。この状態が起きている際には個人で復旧をおこなうことは難しいものです。機器の電源を切って専門のデータ復旧業者に連絡しましょう。

リビルドができない時のRAIDのデータ復旧方法

リビルドができない場合の対処方法を紹介します。

  1. データ復旧ソフトの活用
  2. 専門のデータ復旧業者へ相談

1.データ復旧ソフトの活用

RAIDの構成情報の破損やリビルドの失敗などで復旧が見込めなかった時には、復旧ソフトを使ってトラブルの解決を試みる方法があります。しかし、復旧ソフトの利用は手軽に試せる一方で、ソフトの使用によってデータの上書きが進んでしまうことや状態が悪化してしまうリスクもあるため注意が必要です。また、HDDなど部品に物理障害などの故障が生じている時にはソフトを使ってもデータの復旧はできないため気を付けましょう。ご自身が直面しているトラブルや症状に合ったソフトを探す事やマニュアル・説明文が英語のみで記載されていることも多く、かえって悩みの種が増えてしまう事態も懸念されます。NASやサーバーなどに大切なデータ・重要資料などを保存している際にはソフトの利用に拘らない事も大事なことでしょう。

2.専門のデータ復旧業者へ相談

リビルドを行う事自体がリスクの高い作業であり、保存しているデータが大切な物・無くなると困るものの場合には、できるだけ早い段階で専門の復旧業者に相談することを優先しましょう。専門の会社に任せると時間も労力も削減が可能になり、大事なデータを無くすことがなくトラブルが早期に解決できるものです。RAIDのトラブルに関して、原因の特定や復旧作業自体も難しい場合も多く、症状やトラブルが発生した際には機器の電源を切ることから始めましょう。状態の悪化を防げます。プロのデータ復旧業者は専門知識と復旧技術を持っており、RAIDに関する再構築(リビルド)のトラブルにも対応が可能です。復旧業者の技術力を判断したい場合にはAI技術を持っているかをチェックすると検討が容易となります。

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構築と復旧の違い

RAIDは多くのパソコンに搭載されているOS(WindowsやMac OSなど)とは異なるOS (LinuxやUnixなど)を使っていることが多く、個人でデータの復旧を行うには難しい面も多いものです。RAIDの構築作業とデータの復旧作業には必要な知識も技術も違う為、構築が出来たから復旧もできるということにはならないことも多く、判断や対応には慎重さも求められます。説明書を読みながらリビルドを行っても正常に終わらない・復旧できない状況になることも多いものです。機器の種類やRAIDのモード、症状によって対処方法が異なる為、保存しているデータが大事な方・少しでも不安になった方は専門の復旧業者に相談することを優先しましょう。

↓RAIDを構築しているHDDに障害が発生した際、プロの復旧業者が行ったことはこちら

まとめ・それでも困った時は余計なことをせずに復旧会社へ

RAIDの復旧作業の一つ、再構成(リビルド)は行うこと自体が状態の悪化を進めてしまう・正常に終わらないとデータの復旧が難しくなるリスクの高い作業です。マニュアル・説明書通りに行っても失敗することも多いリビルドを進めることによって大事なデータが無くなってしまい、悲しい思いをする前にRAIDのトラブルが生じた際・HDDに故障などの不具合が出た際には、早めにプロのデータの復旧業者に相談することを優先しましょう。アドバンスデータ復旧はAI技術を持っており、再構築(リビルド)のトラブルなどRAIDに関する症状や障害、すべてに対応が可能です。お困りの方は無料相談からお気軽にお問い合わせください。

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